CKアイソザイムとマクロCK(3)


CKアイソザイムの性状

アイソザイムMMMBBBミトコンドリア
分子量82000820008200084000
至適pH6.0-6.46.2-6.66.2-6.6 
Km(クレアチンリン酸[mM])2.561.360.860.51-1.28
活性化エネルギー[kJ/mol]54.966.559.4101-110.8
等電点6.2-6.95.1-5.44.5-5.46.1-7.9
半減期[時間]15123 
易動度γ位α2-β位プレAlb位γ位

 CKアイソザイムの特にアノマリーを見つけるといいますか鑑別について日常検査で必要なことをスライドに致しました。分子量はミトコンドリアがちょっと大きくて84,000位、それ以外のアイソザイム、細胞質のアイソザイムは82,000位の分子サイズです。

 それから至適pHはMMが6.0〜6.4、BBが6.2〜6.6というこMMの方がアルカリ側です。

 それからクレアチンリン酸に対しますKmですけれど、MMは2.5mM位、それからMBは1.4mM位、それからBBは0.86mMということでMMの方が大きくてBBが小さいです。ミトコンドリアCKになりますとバラツキがあって0.51〜1.28mM位の報告があるみたいです。これだけKmの差というものがあるいは関係するのかも知れませんが、免疫阻害法で測定したときに非Mサブユニットの活性がトータルのCKよりも高い値になるときが時々あります。この辺りの原因ではないかと勝手に思ったりしております。

 それから活性化エネルギー、他の酵素ではあまり活性化エネルギーの話がでないのですがCKでは活性化エネルギーは特にミトコンドリアのCKと鑑別する上でしばしば云われます。MMはだいたい55kJ/mol、MBも66kJ/mol、BBも60kJ/mol辺りなんですが、ミトコンドリアCKは100kJ/mol以上になります。

 それから等電点は、今はやりのアイソフォームでよく云われますが、MMがpI6.2〜6.9位それからMBがpI5.1〜5.4位それからBBがpI4.5〜5.4位、ミトコンドリアがpI6.1〜7.9位です。

 それから半減期は患者さんの検体を測ります時にたいへん重要になりますが、MMは15時間、それからMBが12時間、BBが3時間で、BBの半減期はたいへん短いです。これが例えば新生児仮死でBBが血中に増えた場合とか交通事故なんかで頭部外傷のひどい時にこの3時間というのが重要になります。今日の夕方に検体採取しまして測った時にはBBが高かったけれど、明日の朝、採取されたときにはBBが殆どないというようなことがあります。この3時間の短さがあるいはマクロCKと云いますか IgGとの結合に原因しているのではないかと思ったりする様なことがあります。

 それから、易動度はご存知の通りMMがγ、それからMBがα2 〜β、BBはプレアルブミン位です。ミトコンドリアCKはMMの陰極側と云われております。通常はMMだけですから、マクロCKと云いますかアノマリーが出るときにはこういうものを頭にいれてザイモグラムなり免疫阻害法なりのデータをみて頂ければよろしいかと思います。



      シンポジウムに戻る