第11回 特別講演「脂質の国際標準化(測定精度の現状と標準化の効果)」(34)


【分析システムの正確度(2)】

分析システムの正確度

拡大図
 同様に、測定現場で標準化の証明された脂質3項目の計713分析システムの正確度に関する分布状況を示しました。各プロットの分布状況と回帰直線は、前述の試薬メーカーのそれを上回る成績を示しております。このことは、製品供給側の測定精度が測定現場に正確に反映されていることを示唆しているのみならず、測定現場が製品供給側のマイナス面を補っているのではないかと思われます。欧米諸国では、標準化の対象は、その効果から見て製品供給側に重い負担、臨床検査室側に少ない負担を課す方針の元に標準化システムを構築しておりますが、わが国では検査室の技術水準が高く、且つ、自己決定能力が与えられている場合が少なくありませんので、臨床検査室は試薬メーカーと同水準の標準化を消化できると思われます。しかし、この考え方は、なかなか欧米諸国に理解して貰えない面もありますが、わが国において将来、標準化の運用媒体としてのプロトコルを作成する際に考慮してよいのではないかと考えられます。



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