第11回 特別講演「脂質の国際標準化(測定精度の現状と標準化の効果)」(35)


【標準化の効果・総コレステロール】

標準化の効果・総コレステロール  最後に標準化の効果について、冒頭部分で述べましたように、初めて標準化を受けた施設の測定精度が、2回目の標準化ではどの程度改善されるのか、という点について私なりの考えを述べたいと思います。総コレステロールにつきましては、これまでに2回以上の標準化を受けた51施設を対象に調査致しました。それに依りますと、初めて標準化に参加した51施設の内、46施設が認証に合格しました。標準化達成率は90.2%であります。初回の測定精度は、正確度がMean %Biasで-0.59%、Absolute %Biasで1.38%、精密度が変動係数で0.72%、総合誤差で2.64%を示しました。一方、2回目の標準化では、標準化達成率は90.2%に留まりました。2回目の測定精度は、正確度がMean %Bias で-0.10%、Absolute %Biasで1.32%、精密度が0.65%、総合誤差は2.50%を示しました。以上の成績を元に、1回目と2回目の成績を比較検討してみますと、標準化達成率では90.2%で変化なく、正確度では1回目のMean %Biasが-0.59%に対して2回目では-0.10%と数値上は精度の改善が認められるようでありますが、見方を変えてAbsolute %Biasで比較しますと1回目が1.38%であるのに対して2回目が1.32%と殆ど変わらないことから、正確度においても改善の形跡は認められず、また、精密度と総合誤差の比較においても精度の改善は認められませんでした。総コレステロールでは2回目の標準化で、なぜ測定精度の改善が期待出来なかったのか、その理由、それではどうすれば測定精度の改善が期待出来るのか、その対策につきまして、今後とも更に追跡調査をして行きたいと考えております。



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