第8回 技術講座「血清蛋白像から何がわかるか」(9)


濾紙・セア膜電気泳動法による血清蛋白分画像の体系化


濾紙・セア膜電気泳動法による
血清蛋白分画像の体系化


  1. 検査依頼票および結果報告票の採用
  2. 人為的影響を明確化
     保存・溶血・高脂血など
  3. 分画値の他に分画パターンの重視
  4. 相対易動度の数値化
 
 濾紙叉はセルロースアセテート膜電気泳動法ルーチンの方法にのせて臨床的にどういう意義があるのか、ということを体験する必要があるということになりましてまずやりましたのは、検査依頼表と結果報告表の採用であります。当時米国でやっていましたのは厚紙のカードに周囲に丸が数十個あいたカードでありまして、例えばαの異常があるとαに相当するところを鋏できっておきます。そして何百例も集まったところでその特定のところに針金を通してガラガラとやりますとその変化を持った症例だけがふるいわけられる極めてマニュアルな方法で体系化を始めました。

 鉄道病院にきてから濾紙電気泳動法による蛋白分画を全て特別な検査依頼票に患者情報を記入して貰いまして、その代わり一例一例全部私自身がパターンの意味をできる限り丁寧に書いてお返ししました。このコミニュケーションのやり方は極めて大切でありまして、臨床検査が本当に診断あるいは医療の上で役にたつかどうかを決めるのは臨床医の協力なしには出来ませんので今後いろんな意味で皆様方が臨床研究を進めるについては是非臨床各科と密接なコミニュケーションを大事にして頂きたいと思います。  日大駿河台病院にいた頃は血清蛋白分画はルーチンになっておりましたので今度は免疫電気泳動法に対して特別な依頼票と報告書を付けましてこれが今日、各病院に踏襲されている訳です。従って鉄道病院時代は濾紙電気泳動の検査を通じて病院中の患者さんの動向が分かるということであります。

 日大駿河台病院、板橋病院も一部遅れて採用しましたけれど、院内の患者全てのことがほとんど免疫電気泳動を見ていると動きが分かるということであります。医療経済上の問題で全て患者について免疫電気泳動をやるというのは難しいですけれども研究段階ではそういう時期があってもよろしい訳です。選ばれた患者集団よりもできるだけ幅広い患者集団に片端から検査を応用しその結果を踏まえて本当に役立つ場合には、どういう検査が使われるべきかを確立して行く姿勢になります。

 次に今度は人為的影響を明確化する。せっかく技術が改良されても血清を保存してどういう変化が出るのか、溶血したらどうなるのか、高脂血症の場合どうなるのかといったことをまず究明する為にいろんなことを検討致しました。次に数値がデンシトメータで出て来るんですけれども、自分で毎日一例一例パターンに目を通すことをやりました。それは結果を書く為に一例一例目を通さざるを得なかったこともありますが、それによって数値では分からない色々な情報が得られることが起きた訳です。その中に移動度の問題もありました。



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