第8回 技術講座「血清蛋白像から何がわかるか」(8)


IgA半分子型

IgA半分子型 先ほど申しましたように、たいへん美しい写真がとれるようになりましたし、これは櫻林教授が扱った世界で5番目の(見つけた当初は世界で始めてだと大喜びしたんですがだんだん調べて行くうちに、タッチの差で第5例目でありますが)Ig Aの半分子型の分子を見つけた訳です。

 薄層ゲル濾過法はご承知のように数時間の展開でアルブミングループと、Ig Gグループとマクログロブリングループとに分けることが出来るようになりまして、ベンスジョーンズ蛋白、小さな蛋白質もさらに細かく分ける為のいろいろなゲルの選択と条件を工夫致しましたが、そしてこういうところにM蛋白があるとこれはどれ位の大きさのものであるということが量的に検出できるようになった訳であります。超遠心分析法と一つゲル濾過法と違う点は、超遠心法は分子の重さの違いで分離するのに対し、ゲル濾過法では分子の大きさの違いを利用する点です。また、超遠心法では検体(血清)をかなり希釈して分析しますが、薄層ゲル濾過法では血清そのままを分析する訳です。特に濃度が高くなると分子が重合するという性質をもつ骨髄腫蛋白質ついては薄層ゲル濾過法の方が患者さんの体内での状態を直接反映するという利点もあります。

 免疫電気泳動法の二重免疫拡散法を組み合わせるとこういうふうになります。先ほどIg Aの半分子型と完全分子型、普通のIg Aと少しアグリゲーションを起こしている部分と明確に区別できますし、しかもここで部分的に共通抗原性を持っているものであるということもはっきり分かる訳です。この様にしてルーチン検査の上で様々な血漿蛋白の検索がたいへん容易にできるようになったということからと、当時関東全域の病院から珍しい症例を依頼を受けたために、短期間のうちに相当例の症例を経験することができた訳であります。それをベースに先ほどご紹介にありました血漿蛋白という本を表した訳であります。



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