第8回 技術講座「血清蛋白像から何がわかるか」(7)


ルーチン分析法の開発・改良


ルーチン分析法の開発・改良


  1. IEP - 美しい焼付けのための工夫
  2. 薄層ゲル濾過法の開発とルーチン化
     M蛋白の分子の大きさ
     尿蛋白:糸球体基底膜の破壊度
  3. 免疫ゲル濾過法の開発
     M蛋白の同定など
 
 そこで気がついたのはメーカから提供されている免疫電気泳動の装置では綺麗なパターンがなかなか写真に記録できないということで、免疫電気泳動法の記録する方法を工夫致しました。この場合日大の駿河台におりました田部井さんという技師が非常にきめ細かな仕事をしまして、自治医大にいます山岸安子技師と一緒に美しい焼き付けの技術が開発された訳であります。濡れたままの染色ゲル、電気泳動パターンをそのまま拡大装置につけて記録するやり方で、手間はかかりますけれど、この技術によって世界に冠たる美しい写真、免疫電気泳動パターンができるようになって世界的にいろいろな研究成果が、説得力を持つ様になった訳であります。

   その次に取り組んだのが薄層ゲル濾過法であります。当時日大医学部に超遠心分析装置が入っておりましたけれども、取り合いになりまして、それをやる為に何週間、時には何ヵ月も待たなければなりません。1検体やるのに3日、4日とかかります。これでは分子サイズをルーチンに検討するのにたいへん大きな支障をきたすということで薄層ゲル濾過法を世界で始めて手軽に数時間の時間でやることを考えました。これは既に皆様ご承知と思いますが、ガラス屋さんに行きまして凹んだ溝のガラスを購入致しまして、何とかルーチンに持ち込んでどなたでもどこの検査室でもいつでもできるような方法を開発したということです。さらに免疫電気泳動法の良さを薄層ゲル濾過法に組み合わせてそれを改良したということであります。現在では皆さま方ルーチンに使っている方法でありますが、当時は画期的なルーチン技術であります。



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