第8回 技術講座「血清蛋白像から何がわかるか」(5)


血漿蛋白研究の流れ

血漿蛋白研究の流れ  血漿蛋白分画の流れをここで見てみますと、最初に私が米国で、24才頃でありますが、そこで始めて検査室で濾紙電気泳動の教育を受けまして、特にその当時助教授をしておりましたストランフィヨード先生が熱心に私に教授してくれたのがきっかけであります。日本に昭和37年暮れに帰ってきましたから、38年から4年間国鉄中央鉄道病院(現在のJR東京総合病院)、それから8年間日本大学駿河台病院、そして49年から20年ちょっと、自治医科大学付属病院に勤務しております中での蛋白質研究の流れを、まず最初に蛋白電気泳動法を中心にみて来ましたので全体の病態がどう結びつくかということに興味を持ちました。

 それから途中からは当然リポ蛋白に注目が集まりまして、現在櫻林教授がこの分野の我国をリードしておりますが、当時蓮沼講師がきっかけを作りまして櫻林教授も蓮沼講師と一緒にリポ蛋白の研究をして今日に拡大している訳であります。低分子蛋白については自治医科大学に参りましてから当時高木講師、金助手などが始めた研究が現在まで継承されている訳であります。当初は蛋白分画で最も著名な変化というとM蛋白血症、特に骨髄腫でしたのでこの辺りに注目致しまして、北里大学におります大谷教授が当時助教授でありまして、この辺りのところを中心に研究し、さらに日大では河野均也教授が病理組織学的なバックグラウンドを持った方でしたので免疫グロブリン欠乏症、T細胞系の技術を導入して免疫不全症に入った訳であります。この様にして多くの方々の協力を得て、今日までの血漿蛋白の研究が拡大している訳であります。


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