第8回 技術講座「血清蛋白像から何がわかるか」(29)


最後に

 最後にこういうことを教訓にしております。ルーチン検査を観察する目を養っておく。正しい検査結果を得る為に分析技術をまず検討することは前提でありますが結果を良く見て下さい。観察する。それは氷山の一角に過ぎません。その下には膨大な病態生理学的な変化が潜んでいる。
 つぎにセルロースアセテート電気泳動法、次に免疫電気泳動法さらにあとに構造解析をして例えば半分子Ig A型骨髄腫蛋白はどの部分の分子が欠損しているか、これは櫻林教授がされていることですが、そういうどこが部分的に欠損しているか分子レベルでの構造上の異常を見つける。それをコントロールしている遺伝子の背景、染色体との関係などを追求する必要がある。現在はこの辺りの遺伝子あるいは分子生物学的な検討を極めて幅広く行われているところであります。

 そして日常検査を皆さんが担当している検査室というのは全ての診療科から材料が集まります。精神科からはたまにくるかという程度ですが、あとはありとあらゆる診療科から検査材料が集まります。それをどの様に掘り起こして宝を見つけるか、それは皆さんのふだんの分析技術の練磨と検査結果を見る目を養うことが必要だと思います。

 以上たいへん個人的なお話になりましたけど、私がたどってきました血清蛋白分画を中心とした仕事をこの機会にまとめてみまして今後皆さん方の活動に少しでもお役に立てば幸いだと思います。 どうもご清聴ありがとうございました。(盛大な拍手)



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