第8回 技術講座「血清蛋白像から何がわかるか」(28)


病態と血清蛋白分画のつながりの解明(2)

 もう一つ病気と血清蛋白分画像をつなげるためには医学的な判断が必要だと云いましたがそれは、とりもなおさず血漿蛋白が体でどう働いているかということを、まず整理しておく必要がある。その時代時代の知識によって整理する。まず蛋白が血液に流れ出すためには作られている細胞が必ず有ります。それでγ分画の方は免疫グロブリン産生細胞、その他の大部分は肝細胞で合成される。合成されるためには必ずアミノ酸という蛋白原の摂取が必要であります。この合成される段階で遺伝子調節機構が働いている訳です。結果として血清蛋白分画像から読み取れる病態は図のようにまとめられるわけです。免疫グロブリンに関連しては、多クローン性高γグロブリン血症、モノクローナル免疫グロブリン異常、あるいは免疫グロブリン欠乏症、免疫不全症といったようなものがあがってまいります。

 ただその他に血漿蛋白というものは血管外にも分布していますし、それから一定の寿命で壊れている。それからどこか粘膜表面から外へ大量にもれだしている、そういうことも頭に入れておいてこれらの影響因子がどうからみあっているかによって同じ病気でも、あるいは同じ患者でも病気のステージが違うとパターンが変わってくる。我々単に病気の一瞬間を捕らえているにすぎないので、それをいかに臨床に応用するかはさらに血漿蛋白の病態生理を理解しておく必要がある。



      もくじに戻る