第6回 教育講演「Reference Interval(基準範囲)とその実際」(3)


3.正常値と基準範囲の比較


正常値から基準範囲へ

 正常値基準範囲
言葉による混乱正常と異常を区別する値として誤解あり誤解なし?
設定方法
(対象、方法)
決まっていない決まっている
他施設での利用
(施設間差是正の一貫)
意図していない意図している

 
 正常値から基準範囲ということですけれど、どんな風に異なるのでしょうか。表に示しましたように、一つは言葉による混乱を防ぐ、それから設定方法を決め、他施設での利用をはかろうということであります。
 言葉に混乱ということに触れますと、正常値と云うのは時によっては、あたかも正常と異常を区分する値という風に誤解されるむきがあるんです。例えば正常に入っているから正常だ、正常値ではないから異常だ、と云うふうに、まさに、もう診断のカットオフ値みたいな使い方をされる場合があります。現実にはそういう利用の仕方をする訳ですが本質的にはカットオフ値とは別のものであるということであります。

 それだったら基準範囲は誤解はないかということになると、基準の“基準”ってなんだという禅問答みたいな事をしないといけません。誤解がないということは必ずしも云えませんが、基準範囲の基準というのは健常状態にあるいうことを知る一つの目安(基準)という事です。
 次に設定方法は、正常値に関しては決っておりませんが、基準範囲は原則的なことを決めてやるということであります。
 そして基準範囲は他施設での利用をはかることを意図しているということであります。



      もくじに戻る