第3回 特別講演「血清蛋白分画の自動病態解析」(1)


 ただ今、過分なご紹介というか余計な事を言ってしまっているご紹介有難うございました。現在自治医大の大宮医療センターに勤めております櫻林でございます。今日はあいにくの雨で、お出にならない方もおられるようですが、第3回目の診断技術フォーラムという事で話をさせて頂きます。河合教授が日本に戻られて蛋白分画からどういう事が判るかという事で、"河合の分類"というのを作られました。その分類に則りまして、今日本中で病態解析をやっている訳ですが、日本で蛋白分画がアメリカに比較して、非常に普及しているという一つの大きな理由は、河合教授の功績でありまして、アメリカ人が来てびっくりするのはその点であります。それをなんとか自動化された分析装置でもって自動的に病態を打ち出すことができないかという事で、数年前から、勿論河合先生も一緒にやってきました。一部その成果が出てきたという事で、幾つかの学会で発表いたしましたけれども、今日始めてその内のはっきりしたところを、お話申し上げます。まだ学会にも発表していない状態ですが、皆さんのご批判を請いたいと思いまして、先程の熱心な討論と同じように是非ご討議頂きたいと思います。

1.蛋白定量による病態解析

1-1 ネフェロメータによる蛋白定量

 実はこの血清の蛋白分画をやります前に、これも十数年前でありますけれども自動分析装置によって血中の蛋白を定量することができるという事で、最初に行ったのがテクニコンのオートアナライザーという装置を使って何とかできないかという事で始めたのが病態解析のはしりであります。その話を最初に少ししてみたいと思います。その後全自動のネフェロメータの装置等も出てまいりましたので、それを使って数年間やりました。この原理は血中の特定蛋白を選び、それを定量的に測定します。これをマイクロコンピュータに移し、もう一つのコンピュータにそのデータを入れまして、ここに書いであるような三つのアルゴリズムを使って最終的にコンピュータでレポートを書くという風な事を考えた訳です。この基礎になっているのは勿論"河合の分類"でありまして、それを蛋白定量でもって何とかできないかと言う事で始めた訳です。



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