病態の説明9

 「M蛋白の疑い」の例

デンシトグラム☆病態の基本
  1. 判定条件
    1. M蛋白分画の検出
    2. 血清総蛋白量や各分画の増減に関わりなく、αグロブリン分画からγグロブリン分画までの波形解析によって判定
       
  2. 病態
     免疫グロブリンのモノクローナルな増加によると考えられるM蛋白の存在が疑われるピークが見られます。
     
  3. 注意
    1. M蛋白はいろいろな場所に、いろいろな状態で出現します。症例検討会の症例も参考にしてください。
    2. βグロブリン分画からγグロブリン分画の間にマークがついた場合、フィブリノゲンがM蛋白とされている場合もあります。
    3. βグロブリン分画が2峰性を示している場合、補体がM蛋白とされている場合もあります。

☆病態検出後の対応(次に行う検査など)  
  1. フィブリノゲン(血漿を使用した時に出現)や補体でないことを確認して下さい。 →M蛋白様バンド
     
  2. M蛋白を確定するには免疫電気泳動法による精査を行って下さい。
     
  3. 免疫固定法によるM蛋白の確認も簡便な方法として使われています。
     
  4. いくつかの検査を組み合わせてM蛋白が悪性(多発性骨髄腫、原発性マクログロブリン血症など)のものか、良性のもの(本態性M蛋白血症、二次性など)かの鑑別を行う必要があります。
     
  5. 微量のM蛋白が後で多量になることがあります。また良性のM蛋白が、後日悪性になった症例も確認されています。M蛋白が確認された場合、たとえそれが微量あるいは良性のものであっても、半年〜1年に1回の割合でフォローアップ検査が必要です。
     
  6. 尿にBence Jones蛋白が出現していることが多いので、尿(濃縮)の蛋白分画、免疫固定法、免疫電気泳動法を行って下さい。

☆「M蛋白の疑い」に含まれる病名

 病 名 本態性M蛋白血症(BMG)、多発性骨髄腫(IgG、IgA、IgD、IgE、Bence Jones蛋白型)、原発性マクログロブリン血症(IgM型)、H鎖病、7S lgM病、原発性アミロイドーシス、慢性寒冷凝集素症候群、自己免疫病など

※櫻林郁之介監修:病態解析システム活用マニュアル.常光.より抜粋



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