【M蛋白様バンドについて】

質問 M蛋白様バンドとはなんですか。M蛋白とは違うものなのですか。
  
回答 M蛋白様バンドは、つぎの場合に出現することが知られています。

1.補体バンドの出現1)
 バンド発生位置:βの陰極側、かなりβに近い位置。

 新鮮血清を泳動したとき、補体C3cがβ主分画から分離して見られることがあります。セパラックスSPのような電気浸透現象の少ない膜では分離性能が高いため、とくに二峰性βが発生しやすくなります。
 この場合、翌日に再泳動をするとこのM蛋白様バンドは見られません。

 二峰性β


2.フィブリノゲンの出現1)
 バンド発生位置:fast-γ領域の明瞭なバンド。

 血漿などフィブリノゲンを含む検体で、M蛋白様バンドが発生します。採血方法や病態、投薬状況に影響を受けます。

 透析患者・ヘパリン加血

 <フィブリノゲンの確認方法>
 残検体1滴をガラスプレート上に滴下し、その上にトロンビン、または0.01%の塩化カリウム水溶液、あるいは、抗ヒトフィブリノーゲンラテックス試薬(島研究所製)を1滴加えて混和し、凝集の有無を観察します。


3.溶血の影響2)
 バンド発生位置:α分画のβ分画側(ヘモグロビンがハプトグロビンと結合した場合)。

 溶血により、α分画とβ分画が不明瞭になります。また、ヘモグロビンがハプトグロビンと結合すると、α分画のβ分画側に泳動されます。
 溶血の有無を確認してください。


4.AFP著増検体
 バンド発生位置:アルブミン分画とα分画の間。

 まれにAFP著増検体でM蛋白様バンドを見ることがあります。まず、AFPが著増する病態があるか確認してください3)
 バントは、鮮鋭4)であったり、α分画が幅広く分画5)されているように見えたりします。


 参考文献



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