Reversed CPC その2(2000年)(4)

【入院時データを読む】

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松尾 今度は7月12日と2月15日、この間にどんなことが起こったか分かりませんけれど、2月15日のデータを比較しながら読んで行きたいと思います。青木さん如何ですか。
青木 キーとなるのはMRSAの感染というか尿でも105と出ていますのでそれがこの症例、2月15日のキーになるのではないかと思います。尿の方は蛋白で(4+)で増悪していますし、沈査の方でも赤血球、白血球が出てまして、fat bodyも出ているということでMRSAの腎での感染が疑われる。クレアチニン1.5がBUN76と明かに腎不全がより悪くなっている。腎盂に感染があるんではないかと思います。熱が出ているかどうか知りたいところなんですが。
松尾 腎臓に感染症ですね。
青木 はい。それから血液の方ではヘモグロビンが下がりまして、貧血が起こってますね。それから白血球の方はEosinoが上がってまして、CRPが4.65と上がってますので、やはり感染による炎症ではないかと思います。それから分からないのがγ-GTPとアルカリフォスファターゼが上がってます。それで肝、胆道系に障害が来ているだろうと考えたいですが、それがMRSAの感染によるものかどうか分からないです。
松尾 まとめますと、2月15日にキーになるのが、尿中のMRSAであり腎盂腎炎を起こして、それが感染症を起こしている。ネフローゼの状態も悪くなっているかもしれない。
青木 動脈血(+)ですので敗血症の状態です。
松尾 それから貧血の進行と肝胆道系の障害ですね。
青木 実質の方はGOT、GPT高くありませんのでたぶん何でもないと思います。
松尾 福田さん如何ですか。
福田 今、話されたようなことと同じなんですが、たぶん腎機能が低下してきたためにそれに伴って貧血状態になってきた。後は細菌感染をおこしてますので、どうしておこしたかよく分かりませんけど、腎臓に尿路から菌が入って感染したのか、あるいはIVHのカテーテルが入っていますがこれの管理が悪くて感染、個人的には聞いたことがありませんが、そういうことも考えられなくはないです。そうすると白血球が増えているのは感染症ということになる。
 γ-GTPとALPについてはよく分かりません。ALPではあまり聞かないですが、γ-GTPは抗てんかん薬でも高くなるというのがあります。それ以外の薬剤でも、もしかしたら上がることがあるのではないかと思います。全体を見てネフローゼと考えると、もしかしたら、ステロイドとか免疫抑制剤なんかを場合によっては使うこともあるのではないかという気がしますので、γ-GTP、ALPもそういう係わりを持ったのではないかというふうに考えます。また免疫抑制剤を使ったために、もしかしたら感染が起きたのかなとそういうことを考えました。
松尾 腎性の貧血だと思われる。それから薬を使って感染症をおこすというのは、ステロイドと か免疫抑制剤を投与したから免疫力が低下して感染症になったということですね。フロアーの方、如何ですか。また敗血症のこともおっしゃいましたね。腎機能不全の進行、腎性貧血というキーワードが出ました。それから肝臓につきましては胆道系の異常で、薬剤の可能性もある。ということが出て参りました。質問でも結構ですので何かありますか。
参加者 先程から言われているように腎臓についてはわかるんですが、γ-GTPとアルフォスが高くなったというのが良く分からないです。
松尾 薬物とおっしゃるんですがよく分からないですね。その他、如何ですか・・・。


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