松尾 | まず患者さんの流れから言うと、最初に来られたときのデータをきちんと読んでおく必要がありますので、最初の7月12日に外来のところを、検尿から一つずつステップを追って読むことにします。 高橋さんどうでしょうか。 |
高橋 | 詳しいことは良く分からないので、この資料を頂いた時に、この資料を各パートの人に持って行って教えて下さいと聞いたのです。尿をやっている人には、これ見てどう思うか、血液やっている人には、これどこかおかしいのという感じで聞いて来たものを総合して発表すればいいのかなと思って来たんですが。 小糸円柱とか脂肪円柱は腎機能が2月15日も含めて悪い所見が出ています。血液はちょっと貧血が見られるので、白血病が疑われる所見も少し見られます。分画はα2がちょっと高くなっているので、波形が分からないですが24.3%という高いところが気になります。生化学の方では、関係するのは総蛋白が非常に低くなっていまして、コレステロールが外来時377で高くなっていて、腎機能も悪いので、ネフローゼの症状もあると思います。細菌の担当の人からはMRSAが(+)だから全身に散らばっているんではないかと言われ、それが色々なところに影響しているのかなという所までです。 |
松尾 | そうですか、高橋さんのキーワードは腎機能障害、貧血があって白血病があるかもしれない。蛋白分画、TP、コレステロールからネフローゼ症候群が疑われる。MRSAが全身に及び菌血症が悪さをしている。 |
高橋 | 腎機能も下げているし、甲状腺TSHも高くなっているので甲状腺機能の低下もみられる。 |
松尾 | かなりキーワードが出てきました。読み方はグローバルな感じがしますが良いですね。次にこれを補足する感じでやって頂こうと思います。何かありませんか。 |
佐藤 | 外来のデータから見ますと、まず尿検査では蛋白尿が見られまして潜血も見られる。それから硝子円柱、顆粒円柱が見られる。あと血液学的には大きな変化は見られないと思います。 |
松尾 | 血液学的に変化ない。これは分かります。 |
佐藤 | それからCRPも陰性ですし、RA、抗核抗体、DNAがマイナスなんですが抗マイクロゾーム抗体が200倍と若干上がっています。その後、3ヶ月後の10月の甲状腺機能検査でTSHが上がっていますし、T3が下がっているので、甲状腺機能の低下が考えられると思います。生化学分野では、低蛋白血症でAlbがgで見ても1.66g/dLとかなり下がってます。それからγ-グロブリンが%では11.9%なんですが、gに換算しまして0.45gとなっていますので、かなり下がっていると思います。それから血清カルシウムは低蛋白の影響なんでしょうか、7.4とかなり下がってまして甲状腺機能にも影響しているのかも知れません。それからLDHが若干増加して脂質が高いと思われます。その辺が外来時のデータで気がついたところです。 |
松尾 | 病態としては7月12日の段階でどのようなことが考えられますか、所見としては。 |
佐藤 | 蛋白尿が出て低蛋白血症、それから分画の波形を見てないから、M蛋白があるかどうか分からないですが、α2、β、脂質が高いところからネフローゼ症候群的なところがあるのかと思います。 |
松尾 | 的? 間違ってもいいから言う癖を付けた方がいいんではないかと思います。(笑)ネフローゼ症候群というのがどちらからも出ましたが7月12日の外来時はよろしいでしょうか。私もそう思います。細かいデータの読み方で検尿で、赤血球、白血球の数、これはどう思われますか。有意なものとして捉えるか捉えないか。 |
佐藤 | 若干多いと考えます。 |
松尾 | 人によって違いますが赤血球は1個でもでれば有意だという人と5個以上位でないといけないという人といます。これを本当に意義あるものとして捉えるかどうかは難しいです。硝子円柱と顆粒円柱は特異性はないといういうことです。CBCは何もないとおっしゃってましたがそれはよろしいですか。あとは抗マイクロゾーム抗体と甲状腺機能低下症です。他、皆さんどうでしょうか。ネフローゼ症候群と甲状腺機能低下症という病態があるだろうということです。古川さん如何ですか。 |
古川 | 今、佐藤さん、高橋さんが述べられたのと同じなんですが、外来所見時で確か腎機能障害が少し疑われまして、その後、2月15日に血液検査で貧血が認められてますけれど、赤血球恒数については異常がないので、どこからか低蛋白もきていますしそういった関連もあるのかと思います。あとやはり気になったのは甲状腺機能低下とCRPが外来時では低かったのがだいぶ高くなっています。それとα2領域も勿論高いので炎症性変化が示されているのではないかと思います。 |
松尾 | 他の方、如何でしょうか。 |
福田 | 一つは検尿の件なんですが、赤血球数が初診で1〜2/Eですが、それから2月15日のもあるので、これを見てると潜血(±)で、実際には赤血球数21〜22で鏡検では増えてます。ですからこの1〜2/Eというのは赤血球が尿中ですから壊れたのがあると思いますので、これは潜血が(+)に出てますから、それを重視してあげて、その数は本当はもっと多いのではという考えを持たないといけない気がします。 後、甲状腺の検査のかねあいでカルシウム云々という話がありましたけど、TPが3.8ですのでAlb.も単純に考えると2を切っているかなという気もしますし、実際計っているのはアルブミンと結合しているカルシウムを計っていると思いますので、アルブミン補正をしてあげるとCaはそんなに異常に低くなっていないのではという気がします。 |
松尾 | 福田さんは血尿ということも言えるんではないかということです。それからカルシウムはアルブミンが低いからで正常ではないか、異常ではないということですね。逆に私の方から質問します。検尿で7月12日の潜血を陽性にとるかどうかということですが、RBCが少ないから尿中で溶血をしているという考え方と定性(+)の方がおかしいという考えがありますね。後者ですと、ペルオキシダーゼ反応ですから、還元剤が入っている、お薬が投与されている可能性もあるということを考えておかねばならない。他、皆さん何かありませんか。よろしいですか。 |