Reversed CPC その1(7)

【生化学的検査】

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櫻林  今度はケミストリーの方でどこに異常があるか、ピックアップして行きたいと思います。
参加者 BUN、クレアチニン及び尿酸が高い。
櫻林  それから、ナトリウムは低くてカリウムが高い。クロールは低い。Caはいかがですか。
参加者 若干高いけど普通です。リンは高い。
櫻林  T.Bili、D.Bili良いですね。γ-GTPは基準値内だが、Alpが高い。LAPは基準範囲でしょうか。GOT,GPTも逆転はしていますが基準範囲である。それからFBSは?
参加者 高いです。
櫻林  HbA1cは高いですね。Amylaseが非常に高いです。T.Choles、Trigly、CPKもこんなものでしょう。結構異常値がピックアップされましたが、まず最初にBUN、Cr、UAの3つが高いのはどういうふうに考えたら良いでしょう。
参加者 UA、Crが高いので腎機能障害があると思います。
櫻林  かなり悪いですか。
参加者 透析している位と思います。
櫻林  腎不全の状態であると考えているようですね。BUN、Cr、UAのデータ、特にCrのデータが 大事ですけれど、非常に高い。極端に高いということからしてこの患者さんは腎不全の状態でおそらく透析に入るか、透析の対象になるような腎不全であるということでしょうか。そうするとなぜ腎不全なのか、その原因を追究して行かなければならないということになります。
 後で総合討論ということになりますが、その前に電解質のバランスが崩れていますけれども、これはSさんたしか得意でしたね。電解質の異常はNa、Clが下がってKが上がっているということと、先ほどの議論と結び付けられるかどうかということです。
参加者S 高度の腎機能障害があるのでそのための電解質のアンバランスでリンを含めた酸塩基平衡のバランスが崩れています。
櫻林  どのような機序でこういう変化が起こったのでしょう。松尾先生に解説をお願いします。
松尾 わかる範囲でお答えします。慢性で長く続いた腎不全であると思います。電解質についてはNaが低いということについては水が多いか、Naが低いということですから、この場合には腎不全ですから水が多いことが考えられる。それ以外に一般状態はたぶん悪いかもしれないから口から入るNa量も少ないかもしれない。Kについては腎不全と考えてよろしいだろうということです。しかしもっと細かく上のことを読んでいきますと矛盾する点もあります。後でお話します。
櫻林  ということで基本的には電解質のアンバランスは腎機能障害によって起こっている。少 なくても腎不全という状態を引き起こしているだろうということです。それから、FBS、HbA1cが高いのはFさんいかがですか。これを糖尿病とするのかしないのか。
参加者F ここでは一回しか検査していないので糖尿病とは断定できない。
櫻林  だけどHbA1cは少なくとも過去2ヶ月間の血糖を反映しているので、持続した高血糖状態にあるということを示しています。確かに7%は越していませんが、むしろ糖尿病の疑いがあっていいんじゃないですか。コントロールされているかどうかは分かりませんけれども、糖尿病は充分に疑ってもいいと思います。Amylaseはどうでしょう。
参加者F かなり高値だとおもいます。
櫻林  高値の原因を急性膵炎と考えるのか、唾液由来としてムンプスと考えるか、あるいはAmylaseに免疫グロブリンが結合した状態と考えるか。
参加者F 分かりません。
参加者 Amylaseはクリアランスがわるいから、Amylaseが高くなっているんだと思います。
櫻林  Amylaseは分子量が59,000の大きな酵素であるからクリアランスが悪くて血中で上がって いるというわけですか。そうだとすると大きな分子の酵素はみんな上がっていいですね。本例ではAmylaseだけが何故上がっているんでしょう。
参加者 異所性のAmylase産生はどうか。
櫻林  腫瘍が産生するようなAmylaseではこれ程変動しないでしょう。2月15日のデータだけではそういう話もありえるでしょうが。


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