【短期間のうちに出現・消失したM蛋白について】

症例1  ある患者さんで、1日だけM蛋白様物質が出現しました。分離や採血のミス、検体の取り違えなどのチェックをしましたが、他項目の検査結果は今までと変わりません。再検しましたがやはり出現します。しかし、2日後の再採血ではもう出現しませんでした。糖尿病でインシュリン注射を行っていたため、ためしにインシュリンを混ぜてみましたが何もおこりませんでした。
  
症例2  12:40と14:00の検査依頼で、同一患者にもかかわらずこのようなパターンの違いがでました。検体の取り違えではないようです。

たった80分で変化したM蛋白
  
症例3  2日と8日午後のパターンは問題ないですが、8日午前のパターンがおかしいです。検体の取り違えはありませんし、コンタミの可能性も考えにくいのですが。

たった半日で出現・消失したM蛋白
  
回答  「1日で変化するMバンド」は、実際にはM蛋白(免疫グロブリンのモノクローナル増殖)ではない「M蛋白様バンド」であることが多いようです。ほんとうにM蛋白かどうか免疫電気泳動などで確認してください。

 症例2と症例3は、フィブリノゲンの可能性があります。症例2は同一患者さんとは思えないほどTPや各分画の絶対量[g/dL]、Hb、Htが違うため輸液等の影響が考えられましたし、症例3はDICでヘパリンが治療に使われている可能性がありました。輸液、投薬の内容や採血条件も確認するようにしてください。

 透析患者・ヘパリン加血

 



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