第11回 特別講演「脂質の国際標準化(測定精度の現状と標準化の効果)」(27)


【測定精度の現状・HDL(2)】

断面成績で見た場合の
HDLコレステロールの測定精度

1999.09
PT実施年/月直接法の
認証達成率
正確度精密度総合誤差
Mean %BiasAbs %BiasCVTE
11996/1142/48
施設
87.5%
n=42
-1.62%
n=42
4.00%
n=42
1.50%
n=42
5.29%
21998/0551/62
施設
82.3%
n=51
+0.39%
n=51
2.77%
n=51
1.64%
n=51
5.38%
31998/11106/141
施設
75.2%
n=106
+0.12%
n=106
2.84%
n=106
1.58%
n=106
4.98%
 総コレステロールの時のような治験成績ではありませんが、断面成績で見た場合のHDLコレステロールの測定精度を示しました。標準化達成率で見ますと、96年11月が87.5%、98年5月が82.3%、昨年98年11月が75.2%と、調査が進むにつれて標準化達成率が向上するどころか、逆に低下傾向を示しております。総合誤差の大きさを比較検定しますと、3調査間で有意差が認められないことから、測定精度が改善傾向にあるとも判断出来ません。

 以上のことから、製品供給側における特段の性能改善と測定現場での品質管理の向上に期待出来なければ、HDLコレステロールの標準化達成率も、総コレステロールと同様に、継続調査で87%、断面調査で75ないしは88%程度で頭打ちになるのではないかと思われます。



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