第11回 特別講演「脂質の国際標準化(測定精度の現状と標準化の効果)」(2)


【標準化の目標】

標準化の目標
  1. 国際的な互換性
     直接法はどの程度世界に通用するのか

  2. 正確性
     疫学研究、臨床試験、臨床検査
     高脂血症診療ガイドライン
     検査データーの共有化の可能性

  3. 精密性
     検査室内部の精度管理を信頼する
 標準化の目標は、第一に測定値が「国際的な互換性(Comparability)」を持つこと、第二に測定値が「正確性(Accuracy)」であること、第三に測定値が「精密性(Precision)」である点にあります。
 第一目標の国際的互換性では、わが国で開発された日常一般法である直接法が、スクリーニング法としてどの程度世界に受け入れられるのか、換言すれば、どれくらい患者のお役にたっているのだろうか、という点に焦点があり、
 第二目標の正確性では、疫学研究・臨床試験・臨床検査等の分野において基準分析法による目標値と比較して、どの程度正確な測定値が得られるのか、そして、得られた測定成績で高脂血症診療ガイドラインをどの程度まで正しく適用出来るのか、あるいは、検査データーの施設間共有化がどの程度まで可能であるのか、という点に焦点があります。

 わが国で頻繁に実施されるサーベイでは、外部精度管理の本来の目的である互換性と正確性という根幹に関わる問題が真っ正面から取り上げられていないのではないでしょうか。
 第三目標の精密性では、今日、測定技術や機器の進歩によって十分な成果が得られていると思われますので、検査室の内部精度管理で得られる標準偏差や変動係数を信頼して良いと思われます。精密性の向上という点では、サーベイの果たした役割は評価に値すると思われます。



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