第11回 特別講演「脂質の国際標準化(測定精度の現状と標準化の効果)」(1)


【はじめに】

 第11回ELP診断技術フォーラムに発表の機会を与えて頂きまして、有り難うございます。
 本フォーラムにおきましては、米国の国立研究機関のCDC(Centers for Disease Control and Prevention, Atlanta, Georgia)が主催する脂質に関する国際組織であるネットワーク、即ち、Cholesterol Reference Method Laboratory Network(CRMLN)に参加する一基準分析室としての立場から、わが国の試薬メーカーと臨床検査室における総コレステロールとHDLコレステロールとLDLコレステロールの3項目について、CRMLNの標準化プロトコルを適用した場合の「測定精度の現状と問題点」を明らかにしたいと思います。測定精度の現状を把握することによって、わが国の臨床検査室の測定値が、どの程度世界に通用するのか、ということが見えてくると思われるからです。
 次に、標準化は測定値に付加価値を付けることでもありますが、時間と経費を掛けて標準化を実施しても、果たしてどの程度の効果が期待出来るのであろうかという観点から、総コレステロールとHDLコレステロールの2項目を対象に、初めて標準化を受けた施設の測定精度が、2回目の標準化ではどの程度改善されるのかという成績を元に「標準化の効果」について、若干の考えを述べて見たいと思います。
 前半部分では標準化の基礎的な説明、後半部分では標準化の応用例について、ご説明させて頂きます。



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