第10回 記念講演「DRG/PPSとELP診断技術」(6)


米国に於ける社会保障制度(3)



Managed Care を基本とする民間保険

HMO(Health Maintenance Organization):
 民間保険による包括保健・医療提供組織
PPO(Preferd Provider Organization):
 医療機関と医療費割引契約

  • 1982年 メディケアの支出削減令
        17年で全医療費 6.1倍
        メディケア費 13.3倍

 HMO(Health Maintenance Organization)というのは民間保険会社であって生まれてから死ぬまでの健康に関することは一切まかないますから保険料を一定料払って下さいというやり方です。しかし、問題はお医者さんの側にも、患者さんの側にも保険会社から規制がかかる訳です。契約しているお医者さんには、「この患者さんには、こういうことだけをやって下さい。それ以上やっても支払を致しません」。患者さんには「あなたはA先生のところに行きなさい」。というようなことで患者さんに、自由に診療所、医師を選択する自由がないわけです。そこが大問題になっている訳です。

   それでもう一つは、こういう民間保険に規制が非常に強いという欠点がありましたので、それぞれもう少し違った医療を提供する医師あるいは医療機関の言い分を少し取り入れたPPOというシステムも平行して行っていますが、大体HMOが基本になっています。こういうことで1982年になりますとメディケア(高齢者のための政府管掌保険)の支払が17年間で13.3倍にも増えて、全医療費の増加率 6.1倍の2倍にも増えています。これで非常にあわてまして、HMOを拡大して民間保険会社による医療提供を拡大することによって政府の負担を軽くしようということでスタートした訳です。



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