第10回 記念講演「DRG/PPSとELP診断技術」(4)


米国に於ける社会保障制度(1)



米国に於ける社会保障制度

国民皆保険制度の導入に2度挑戦したが、
基本的には、民間保険による自由経済方式
  • 1935年 社会保障法の制定(Social Security Act)

  • 1965年 高齢者のためのメディケア
        低所得者のためのメディケイド

  • 1973年 HMO拡大のための国庫補助
 
 まずアメリカでは国民皆保険制度の導入を2度試みています。1920年代と1950年代に国民皆保険制度を導入しようとしておりますが、ご承知のようにアメリカは自由経済方式を基本としていますので、民間の保険会社から大きな反発と議会へのロビー活動が活発になりまして、さすがのアメリカ政府も国民皆保険制度に踏み切れなかった経緯があります。
 基本的には民間保険による自由経済方式が基本になっているわけであります。ここが日本と非常に大きな違いです。1935年に社会保障法が制定されて、一応近代的な医療をささえる基盤ができまして、私がアメリカにいました1950〜1962年までの頃は従って古い形の社会保障制度の中で動いておりました。

 その中で私も感じたことですが、お金のない人はチャリティーケースということで、大きな公的な病院に入院されますけれど、費用はかからないということが行われていました。しかしそれがどんどん経済的な負担を大きくするという結果になって1965年には高齢者のための、メディケアという政府干渉の保険が始まり、低所得者のためにはメディケイドという政府管掌の保険がスタート致しました。
 65年というと我国ではすでに国民皆保険制度が完全に行き渡っていた時期であります。後ほど述べますが1961年に国民皆保険制度が成立して、いつでもだれでもどこでも基本的な医療は受けられるという体制がととのったわけです。運用の上で色々問題は生じましたけれども、これは世界にも冠たるシステムということができます。
 1973年にアメリカではHMO拡大のための国庫補助の方針が決まりました。HMOとは何かというと、今アメリカの新聞等を見ますと数年前からManaged Careということが非常にうるさく言われています。管理ケアあるいは管理医療あるいは規制医療という言い方をされていますが実をいうとManaged Careというやり方はワシントン大統領の時から既に始まっている訳です。ワシントンが大きなplan-tationを持っていて多数の従業員を抱えていましたが、その従業員のため医療を提供するシステムとしてすでに古くから導入されていました。



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