第10回 記念講演「DRG/PPSとELP診断技術」(13)


わが国での検査費支払方式の変遷(2)


わが国での検査費支払方式の変遷(つづき)

  • 1988年 検査実施料と判断料の分離
        1995年 実績で72.4%と27.6%
        検体検査費総額1兆8193億円(6.7%)

  • 1997年 検体検査判断料の引き上げ
        病理診断料の引き上げ
        手術前・後医学管理料(検査を包含)

     検体検査管理加算の導入
    • 常勤の検査医がいる
    • 緊急検査に対応できる
    • 精度管理が行なわれている
    • 検査の効率的利用に関する委員会がある

  • 1998年 検査費約8%減少の予測
        総医療費1.1%減少の見込み
        検体検査管理加算が倍増
 1988年には実施料と判断料が分離されました。これも我々学会関係者との協議は一切ありませんでした。一晩か二晩の間に中医協で政治的な判断ということで決まった訳で、私どもというか、少なくとも当時学会で色々責任ある職についておりましたが、その時は少なくとも分離に反対を表明していた分です。それは何故かというと現実に、今はなっていますが実施料を分けたことによって実勢価格と称して割引の値段が横行すると、それでやれるんだから安くしますよということで実施料が年々低く設定されました。これは皆さんご承知の通りであります。

 それから1997年になりますと今度は検体検査判断料の引き上げ、手術前後の検査を含めた医学管理料、こういうものが医学的な判断を含む診療技術に対して、今までは不当な設定がされていたのでそれを上げる。逆に今度は実施料を下げるという方向が出来上がりまして、ここで我々からするとたいへん歴史的なステップを踏んだわけです。検体検査管理加算というのが導入されまして、目に見えない労力、知的な能力に対して点数が設定されたというのは検査の上では初めてです。

 実際に仕事をしたことに対して点数を設定するというのが今までの日本のやり方で、Fee-For-Serviceやったことに対して、目に見える仕事をやった時に対してお金を点数を決める。ですから今まで往診料とか電話で相談を受けたというようなことに対しても、知的な労力に対しての手当がなかったわけですが、これで検査の上でも精度管理を重視、これは先ほどアメリカの臨床検査関係の専門医が法廷闘争にまで持ち込んで、検査の一部が医学的判断を伴うものであるということで勝ち取った実績を、遅ればせながら日本でも取り入れられたということです。



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