第9回 技術講座「遺伝子診断のいろは」(7)


【診断応用】

 DNA診断では、以上述べた遺伝子異常の内、DNAとmRNAの変化を検索します。DNAレベルではサザンブロットハイブリダイゼーション。研究的には異常領域のクローニングとシーケンシングが行われます。皆さんがサザンブロットで何か異常を見つけたら、そちらに走っていくのも一つの方法です。教科書の1行となるかもしれません。また、PCRを使い異常領域の増幅をした後の解析も可能です。mRNAの解析はノーザンブロットハイブリダイゼーションやドットブロットまた、RT−PCRなどがあります。

 本日は、基本中の基本のサザンブロットについて、実験操作法と解釈について説明をします。細かな実験条件は省略し、各段階の注意点を挙げていきます。


I.DNAの抽出(1)
 
 遺伝性の異常の検索にはリンパ球DNAが用いられます。癌の遺伝子異常を解析するのなら癌組織からDNAを抽出します。基本は蛋白変性後のDNA精製です。リンパ球からDNAを抽出する過程を示します。
 写真のごとくフィコールの上に、全血を乗せてクッションにして遠心すると赤血球と顆粒球が下に落ちて、中間層に単核球がきます。そして上が血清です。
単核球を回収し、DNAの原材料とします。なおこの分画はリンパ球が多いので以後リンパ球からのDNA抽出と称します。プロナーゼやプロテースKなどの強力な蛋白分解酵素で蛋白を分解し、フェノールにより変成蛋白を除きます。



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