第8回 技術講座「血清蛋白像から何がわかるか」(12)


リバノール沈澱法

 リバノール沈澱法をしますとIg AとIg Mタイプのものはなくなってしまう。殆ど沈澱して除かれる。しかしIg GのM蛋白だけは殆ど沈澱されずに残る。これはベーリングベルケのシビック先生が早い時期から血漿蛋白成分を分離するのにリバノールを使っていた事実に注目したわけです。Ig Gとβに残っているのはトランスフェリンであります。最初にリバノールで沈澱するかしないかでもってプール血清を分けておいてそれから微量の成分を分離しているということを知りまして、これをルーチンに採用し、抗血清を使わずともIg GタイプとIg A叉はIg Mタイプとを完全に区別するということをやりました。

 勿論これは定性的でありますからのちに特異抗血清が出てきたら当然消滅し、現在では沈澱法の古典的なものとして残っているに過ぎません。



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