第6回 教育講演「Reference Interval(基準範囲)とその実際」(8)


5.基準範囲はどの様にして求めるのか?
 1)NCCLSが提唱した手順


基準範囲の求め方

  1. 健常者と考えられる個人(基準個体)の収集。n数は少なくとも120とする。
  2. 生理的条件、生活習慣で細分(基準標本群)
  3. 基準標本群のヒストグラム作成
     ・対数正規分布は正規化
     ・明らかな異常値の除去
  4. パラメトリック→平均値±2SD
    ノンパラメトリック→95%を含む範囲
  5. 細分された基準標本群の間の基準範囲の有意差検定  有意差がなければそれらの基準標本群を集約する
 それではいよいよ基準範囲という指数はどの様にして求めるのかということであります。
 表はNCCLSの手順を簡単にまとめたものなんですけれど、一番に健常者と考えられる対象の収集ということです。この対象を基準個体という難しい言葉で呼んでいます。
 次に整理的条件、生活習慣で細分するということ。
 そして分けたものについてヒストグラムを作成する。その際、対数正規分布に関して正規化すること。それから明らかな異常値も除去すること。自分で常識的に考えて異常なものを除くという事になります。

 そして分布がパラメトリックだったら、パラメトリックというのは易しく言えば正規分布、ガウス分布しているということで、この場合は平均値+2SDを採用する。もし分布図が良く判らない場合は95%の範囲をとるということです。
 そして細分された基準標本群の基準範囲を有意差検定して差がなければ一緒にする。たとえば男女差がなければ一緒にするとか、まあそう云った事をやる。

 後で申しますけど、実はこの健常者って何なんだということがやっかいなのです。また生理的条件、生活習慣で細分すると云ったってどうやって細分したらいいんだということも難しいところです。


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