第6回 教育講演「Reference Interval(基準範囲)とその実際」(5)


4.カットオフ値とはどの様に異なるのか?(2)

 高コレステロール血症の診断の基準というものを日本動脈硬化学会で決めております。正常域が150〜219、高脂血症220mg/dl 以上となっている訳です。非常に曖昧な言葉を使っている様に思えます。正常域と高脂血症はきっちり分かれており、正常域とかカットオフ値という言葉に若干誤解を招く表現をしている様に思います。



高総コレステロール血症の診断基準(菅野)

基準範囲130〜250mg/dL
理想的上限値
要監視域
治療域
200mg/dL 以下
201〜220mg/dL
221mg/dL 以上

 
 菅野先生のを拝借して、「基準範囲とそれからカットオフ値は別のものとして扱った方がいいよ」という例を示します。
 基準範囲は130〜250、ところが診断あるいは治療を意識した言葉でしたら、理想的上限値とか、要監視域、治療域と云った言葉で表現した方がいいだろうということを云っておられる訳です。私達も報告書に正常値をつけてきている訳ですが、実際には病気かどうかというのはいろんな判断に基づきます。正常値を求める事が一番易しいからそれを付けてるだけでありまして、臨床的な事を考えればこういう風な概念で報告書をつくりデシージョンメイキングに役立てるのが理想だと思います。



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