アルコール性肝障害の診断基準(高田試案)
- 常習飲酒家(日本酒に換算して一日平均3合以上、5年間以上継続)、または大酒家(日本酒に換算して一日平均5合以上、5年間以上継続)である。ただし、ALDH2活性欠損者(ALDH2遺伝子のheterozygote)では、3合以下の飲酒でもアルコール性肝障害を生じ得る。
- 禁酒により血清GOT、GPT活性がともに4週間以内にほぼ正常値(70単位以下)にまで下降する。ただし、重症型アルコール性肝炎、進行した肝硬変、肝癌合併例は例外とする。
- 肝炎ウイルスマーカー(HBs、HCV抗体、HCV−RNA)は陰性である。
- 以下のアルコール性肝障害に特異的なマーカーのうち、検索された検査の半分以上が陽性である。
- 血清トランスフェリンの微小変異が陽性。
- CTスキャンで測定した肝容量が増加(単位表面積当り720cm3以上)。ただし、非代償性肝硬変、肝癌合併例は例外。
- 禁酒により腫大していた肝臓の著明な縮小。4週でほとんど肝腫大を認識できなくなる。ただし、肝癌合併例での正中線上の触知は例外とする。肝下縁の確認は、弱打診か、超音波断層で行うことが望ましい。肝の縮小は禁酒後早期(1週以内)で著明なので、禁酒直後の検索が重要である。
- アルコール肝細胞膜抗体が陽性。
- 血清GDHとOCT活性がともに異常高値を示し、その比(GDH/OCT)が0.6以上である。
- 禁酒による血清γ−GTPの著明な低下(4週後で禁酒前の値の40%以下)。
| 図はアルコール性肝障害の診断基準(高田試薬)ですが、大酒家というのは一日平均5合以上、5年間以上継続する方です。
ここで注目してほしいのは「以下のアルコール性肝障害に特異的なマーカーのうち、検索された検査の半分以上が陽性である」の項で「血清トランスフェリンの微小変異が陽性」の項目です。トランスフェリンは余り総量としては変化しないのですが、微小変異があるという事です。
トランスフェリンのpI 5.5〜5.7のデシアロトランスフェリンが、アルコール性肝障害では出てくるのを、ひとつの診断基準にしているわけです。これは等電点電気泳動でないとできないわけです。 |