第4回 特別講演「ポリアクリルアミドゲル電気泳動による血清及び尿蛋白の意義」(18)


3-16 イムノブロッティング法


イムノブロッティング法の原理

電気泳動によりタンパクの分離
 ↓
支持体(おもにむニトロセルロース膜)にタンパクを転写
 ↓
目的とするタンパクの検出
(酵素抗体法)

 櫻林先生がご専門のイムノブロッティング法という技術が非常に盛んになってきました。これは簡単で電気泳動によって蛋白を分離した後、転写しそして目的とする蛋白を酵素抗体法で検出する方法です。電気泳動しましたPAGの上で発色液をかけてもゲル内にしみ込みにくいため、分離がよくとも、染色性が悪いという問題があります。その点ニトロセルロース膜という蛋白結合の高い膜に蛋白を写してしまいますと全てが解決されます。最近ニトロセルロース膜からPVDF膜という、更に蛋白結合能の高いものを使う傾向にあります。

 酵素抗体法は、蛋白を抗原として抗原抗体反応して、それを発色する方法です。一次抗体にペルオキシダーゼを標識したのを使う場合を直接法、それから間接法の方は、抗原抗体反応をして二次抗体に酵素を標識したものを用いるというやり方です。直接法、間接法ともに、標識した酵素を発色させて検出しています。


酵素発色法

ペルオキシダーゼ
 ↓
 ↓3,3'-ジアミノベンジジン
 ↓H
 ↓
青色発色

 
 酵素発色法はペルオキシダーゼを3.3`ジアミノベンジジンで発色させます。最近コニカと和光純薬からここだけを発色するキットを発売しています。それを使うのも簡単で良い方法です。


ウェットブロッティング法

 蛋白を腹に転写するブロッティング方法のひとつであるウェットブロッティング法では転写用緩衝液の中でやる方法で、私はどちらかと言いますと、この方法の方が好きです。

 一方セミドライブロッティング法はバッファーの無い状態で(スポンジに湿めらしたような状態)やる方法で、これは聞くところによれば非常に良いと言うのですが、私がやるとなかなかうまくゆきません。最近では泳動した後、ニトロセルロース膜をゲル上に置いて、ちょっと重しを載せておきます。このような自然密着で転写しても十分なので、最近は自然密着で、転写するという方法もよく使っております。


金コロイド染色


 ニトロセルロース膜にタンパクが転写されているかどうかをみるのに好都合な染色法

[原理]タンパクに金コロイドが結合することによってタンパクバンドが発現するという方法
 
 ニトロセルロース膜に蛋白が転写しているかどうかを見るのに好都合なのが、金コロイド染色です。これも和光純薬やバイオラットから、金コロイドの液が出ていますので簡単に調べられる良い方法です。



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