第2回 特別講演「免疫グロブリン異常症」(9)


9.M蛋白血症型血清蛋自分画像の鑑別


M蛋白血症型血清蛋白分画像の鑑別

  1. 人為的影響による場合
     A 長期保存後の血清
     B 生体外溶血


  2. 他の蛋白成分による場合
     A 低比重リポ蛋白(α〜β)
     B ヘモグロビン(α、β)
     C β1c−グロブリン(β
     D フィブリノーゲン(β
 そのMピーク或はMバンドを固定する時に様々なものが同じような狭いバンドとして観察されます。

 例えば長期血清を保存した後、流しますと変性した蛋白質が支持体の表面にどうっとへばりつきまして、その部分があたかもピークのように見える、特にdensitometefにかけた場合に区別がつかなくなることがあります。
 それから生体外の溶血が起きるとヘモグロビンバンドがβのところに非常に狭く泳動されるので、これも時に見誤まることがあります。見誤るというか、色を見ればへモグロビンがべったりついていますから、赤い色をしてますから、染色前にはっきり判ります。

 他の蛋白成分の場合には、まず電気泳動だけでは区別つきません。余程経験を積んできて、それぞれの支持体の特徴をのみこめばこれは多分フィブリノゲンだと言えます
 。最終的には免疫電気泳動その他の方法で鑑別しないといけないものというのが低比重リポ蛋白、少量のヘモグロビン、β1cグロブリン、補体の第3成分の新鮮な状態のもの、それからフィブリノゲン。このフィブリノゲンもこれは血清ですよというぶうに思っても、血友病などの患者のように血液凝固の異常を伴っているような疾患では、しばしば時間をおいて血清を分離したにもかかわらず、一部フィブリノゲンが残っているということがありますので、これは血清のはずだと思っても少量のフィブリノゲンは含まれている可能性が、特に患者の検体ではあるということであります。



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