第2回 特別講演「免疫グロブリン異常症」(8)


8.M蛋白の特徴(1)


M蛋白の特徴
  1. 電気泳動で均一な蛋白帯を示す。
  2. 免疫学的に単一な種類のL鎖またはH鎖から成る。
 それではM蛋白が出てくると言うことはどういう所見かというと、2つの条件を満たしている必要があります。

 1つは電気泳動で均一なM蛋白帯を示す。Mピーク或はM-component或はM-bandといろいろ言っていますような均一な蛋白帯を示すことです。
 もともと免疫グロブリンというのは、正常なのはbroadな幅広いバンドとして分離されるというのが特徴です。これはポリクローナルであるということの証拠です。モノクローナルの時は左右対称の非常に幅狭いバンドとしてみられる。電気泳動もマニュアルでやる場合には、先の太いピペットで塗るか、針のような細いので塗るかによって、M蛋白の現れ方も随分遣うのです。泳動条件によって、それから支持体の種類によっても違います。

 一応アルブミン分画を基準に致します。アルブミンというのは殆ど99%位、血清アルブミンによって占められていますので、そのピークとほぼ同じかそれよりももっと幅狭いというものを一応均一な蛋白体、Mピークと呼んでいいと思います。電気泳動パターンでは普通ですと正常は幅広いです。
 リバノール沈澱法でIgGとトランスフェリンだけを上清に残しまして電気泳動したものです。そうすると正常の場合トランスフェリンは細いピークです。それはモノクローナルな性質を持っている。普通の血清蛋白では免疫グロブリンIgGは同じIgGでもずいぶん幅広く、ポリクローナルな場合にはこういうふうに幅広く泳動されます。モノクローナルの場合はほぼトランスフェリンと同じ様な幅でもって泳動される。免疫電気泳動ではご承知のようにM‐bowという言葉を使いますが左右対称の狐を描くのが特徴です。その代表的な例がアルブミンです。他の血清蛋白も大部分は左右対称性のきれいな狐を描きます。それは単一な成分であるという1つの証拠なんですがポリクローナルの時はこういう直線的に長い沈降線を作りますが、M蛋白の場合には左右対称性にM‐bowを形成するというのが特徴であります。これに例外的なM蛋白としてBence Jones蛋白とheavy chain disease proteinの2つは必ずしもアルブミン或はトランスフェリンのバンドとほぼ同じように幅狭いバンドを呈するとは限りません。


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