第2回 特別講演「免疫グロブリン異常症」(7)


7.M蛋白血症型血清蛋白分画像の特徴(1)

 ルーチンにどんどん蛋白分画をやっていて、Mピークが見つかるうちの3分の2は、それ自体治療の必要のないbenignのものです。3分の1弱がそれ自体治療を必要とする悪性M蛋白血症です。


M蛋白血症型血清蛋白分画像の特徴(1)

  1. M蛋白帯の出現
  2. M蛋白以外の血清蛋白成分の変動
     A)急性相反応型
      ・Albの減少
      ・急性相反応物質の増加
     B)M蛋白以外の免疫グロブリンの減少
     C)血清脂質の増加
 
 検査室でM蛋白血症と診断するための血清蛋白の検査所見の特徴は大きく2つあります。1つはM蛋白血症、もう1つはそれに付随していろいろ他の血清蛋白も変動してきます。ですから当然血清蛋白分画をやるとM蛋白が見えるというだけでなくて、他にもいろいろ付随した変化が血清蛋白分画像に現れることに注意します。一般的には急性相反応型で、M蛋白を伴っている患者さんというのは、何らかの形で炎症病態を持っていることがほとんどですので、しばしば急性相反応型、即ちアルブミンが減少しα、αグロブリン分画が増加しているというパターンがみられるわけです。

 それからM蛋白以外の免疫グロブリンはというと、減少している症例がかなり多いです。これは後程申し上げます。
 それから血清脂質、その他さまざまな成分がM蛋白に付随して増えていることがあります。それはM蛋白にいろいろな蛋白質が結合してcomplexを作ることがあります。例えばM蛋白とリポプロテインが結合してみたり、或はカルシウムとM蛋白が結合してみたり、いろいろなことが起こりますので、そういうことが2次的に血清蛋白の電気泳動パターンに影響してくるというわけです。



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