第1回 特別講演「病態スクリーニング検査としての血清蛋白分画の意義」(14)



14.肝硬変症


肝硬変症における血清蛋白分画像


 もう一つのβ‐γ bridgingについては先程申しました。これを示したのがI群で、濾紙の時の方がすごく分離が悪いですから、出やすかった訳です。大体私共が、濾紙で調べた場合には、肝硬変症の60%がβ‐γ bridgingを示しました。
 所が、セア膜に切り替えたら30%弱に減りました。それだけセア膜の方が分離が良くなったという事になる訳です。II群というのは、分かれるけれども非常にβとγの谷が浅くなっている。先程申しました分かれにくいけれども、何とかデンシトメータで分けられます。III型というのはβとγが明確に分かれた症例です。I型の場合は全くβとγrにデンシトメータで分けられないようなタイプ、そうするとアルブミンもうんと低いし、それからα分画もうんと低いので、比較的肝細胞障害の強いものにβ‐γbridgingが現れ易いという事があります。それから免疫化学的な検査方法を駆使する事によって、アルコール性肝障害の時にはIgAが比較的幅広くなる頻度が高くてβ、γの谷が浅くなる傾向があるというような事が明らかになりました。

濾紙電気泳動におけるβ‐γ bridging




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