第1回 特別講演「病態スクリーニング検査としての血清蛋白分画の意義」(15)



15.急性相反応型

 急性相反応型の場合には、アルブミンが減ってα、αの分画が増える。これも先程松尾さんからお話がありましたので詳しく言いませんが、現在では急性相反応物質又は急性相蛋白Acute Phase Proteinという言葉で簡略化して呼ばれていますが、非常に沢山のものが見つかってきていて、かなりそれがインターロイキン等のサイトカインの影響を受けている事が判明しています。単に急性相蛋白というのは増えるものだと思っていたのが、アルブミンのように同時に減る方向にそのサイトカインが影響を及ぼしているという事も判ってきました。それに加えて、γグロブリン分画が増えるに従って慢性化の度合を反映するという事であります。


無アルブミン血症のセア膜電気泳動像
 蛋白欠乏型で典型的なものが、このアルブミンの無くなるタイプであります。日本ではこの一家系だけですけれども、このように蛋白欠乏型の場合に血清蛋白分画から疑えるのは、アルブミン分画の低下によるアルブミン欠乏症、α分画の場合には、αアンチトリプシン欠乏症、αは多成分が混在していますから判りません。但しαグロブリン分画が非常に減ったら、重症の肝障害を考えていいと思います。β分画がかなり減っているのは、トランスフェリンの欠乏症、γグロブリン分画の低値は、IgGの欠乏症を疑う事が出来る訳です。



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