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− 臨床意義編 −


3.血液はどんな具合に分離されるのでしょうかあ? 担当者

 担当者 臨床検査は「診断・治療に役立てるために行う」分析で、目的成分は血液やその他の体液に限られます。血液には蛋白、脂質、糖、電解質、酵素などさまざまな成分が含まれているうえ、それぞれの種類もたくさんあります。たとえば、以下の表で紹介するような方法で、次のように分離できます。
 なお、あまりにたくさんの成分が含まれているので、蛋白を中心に、代表的なものだけを抜粋してあります。ほかの成分に興味があったら、ぜひ自分で調べてみてくださいね。

血液液体成分(血漿)蛋白Albプレアルブミン
アルブミン
グロブリンα1α1アンチトリプシン
α1酸性糖蛋白
チロシン結合グロブリン
α1リポ蛋白(HDL)
α1ミクログロブリン
α1アンチキモトリプシン
α1フェトプロテイン
α2α2マクログロブリン
セルロプラスミン
ハプトグロビン
レチノール結合蛋白
βトランスフェリン
ヘモペキシン
βリポ蛋白(LDL,VLDL)
β1Cグロブリン
β1Eグロブリン
フィブリノゲン
β2ミクログロブリン
γIgGIgG1
IgG2
IgG3
IgG4
IgAIgA1
IgA2
IgM
IgD
IgE
CRP
脂質(省略)
(省略)
電解質(省略)
酵素(省略)
その他(省略)
固形成分(血球)赤血球
白血球(省略)
血小板
  • 血液は、液体成分(血漿)固形成分(血球)に分けられます。
    固形成分(血球)のほうが液体成分より重いから、ほおっておくと下に沈みます。
    液体成分(血漿)は上澄み液として得られます。


  • 液体成分(血漿)には、蛋白、脂質、糖、電解質、酵素などさまざまな成分が含まれています。
    これらはそれぞれ性質が違うので、測定方法も違います。基本的には、特異的に(測定したい成分のみに)反応する試薬と血をと混合し、試薬の色の変化を測定して量をはかりますが、血液はあまりにもいろいろな成分が含まれているため、測定を妨害する成分を除去したり、必要な成分だけを精製したりしてから測定したほうが確実なのです。たとえば、脂質であれば、水より有機溶媒によく溶ける性質を利用して有機溶媒で抽出することができます。糖の場合は蛋白を沈殿させ除去してから測定したほうが確実です。電解質は、イオン選択性電極という特定のイオンだけを検出する装置を使えば・・・という具合です。

  • 蛋白は、大きく分けて、アルブミングロブリンに分けられます。
    アルブミングロブリンの、アルコールに対する溶解度の違いを利用してどちらかを沈殿させて分離したり、アルブミンのみに反応して発色する試薬の色の変化によって量をはかり残りをグロブリンの量としたりする方法があります。

  • グロブリンは、さらにα、α、β、γに分けられます。
    これは電気泳動的な分類です。いわゆる蛋白分画は、電気泳動的にAlb、α、α、β、γの5分画に分離することです。

  • グロブリンの各分画は、表にあるようにさまざまな成分から成り立っています。たとえば、γ分画はIgG、IgA、IgM、IgD、IgE、CRPなどから成っています。
    このうちIgGなど免疫グロブリンは、免疫学的な方法で量を測定したり、アフィ二ティークロマトグラフィーで分離したりすることができます。

  • IgGやIgAは、さらにいくつかのサブクラスがあり、それぞれ性質が違います。
    サブクラスは、より精製された試薬を用いた免疫学的な方法で存在を確認したり、アフィ二ティークロマトグラフィーで分離したりすることができます。

  • IgA2は、さらに2つのアロタイプに分けることができます。これらは分子構造の違いによって分類されます。

  • このように、血液にはさまざまな成分が含まれており、分類の段階もたくさんあります。


 生徒 電気泳動だと、これが全部いっぺんに分離できるんですか

 担当者 やってできないことはありませんが、結果を読むのがあまりにも難しくなります。分離除去は表で説明しているような方法のほうが便利です。
 それに、成分によっては、臨床意義がなかったりはっきりしていなかったりするものがあります。臨床検査は診断に役立てるために行う検査なので、臨床意義のはっきりしている必要な項目のみを測定するように決められています。だから、血液をいきなり電気泳動にかけ全成分をいっぺんに検出することはしていません。くわしくは、あとで説明します。

 生徒 血液を放置すると、分離する前に血液が固まってしまうのではないですか?

 担当者 血液を体の外に出しておくと、固まります。これを凝固といいます。このときにできる塊が血餅で、血が全部からだの外に出てしまわないよう、傷口をふさぐ役目をします。
 しかし、検査をするときは塊ではこまりますから、凝固を阻止するために採血直後に抗凝固剤をいれます。すると、血液は固まらないので、固形成分(血球)と液体成分(血漿)とに分けることができます。

 生徒 検査に使うのは血清だときいたのですが

 担当者 血が固まって塊になったとき、まわりに黄色い液体がついています。これが血清です。抗凝固剤が測定に影響する項目があるので、生化学的検査では血清が用いられることが多いのです。検査に用いる場合は、試験管の中で自然に凝固させ、遠心分離して上澄み液を分取します。
 血清は抗凝固剤が必要ないので便利ですが、血球成分を固めてしまうので、血球成分が必要な検査には使えません。また、凝固のために必要なフィブリノゲンなどの成分を使ってしまうため、血の固まりにくさを調べる検査にも使えません。

 生徒 その他の項目では、血清でも血漿でも変わりないんですね

 担当者 体内では血液は固まらずに流れているのですから、血清はかならずしも体内のようすを反映しているとはいえません。
 いっぽうで、抗凝固剤を入れたらその分成分が変化します。そのため、血清と血漿とで違う値が出ることがあります。目的とする測定項目、測定方法によって、使い分ける必要があります。


 −もっとくわしく教えてください−

 押してください 電気泳動じゃない蛋白測定法にはどんなものがありますか



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