第 9 回発表・抄録番号 3

血清IgA値がかい離を示すIgA型多発性骨髄腫 (6)

 正常ヒト血清中では、IgA1とIgA2の構成比が93:7と圧倒的にIgA1が多く、本症例のようなIgA2型M蛋白例は極めてまれです。IgA2はIgA2m(1)とIgA2m(2)の2つのアロタイプからなり、両者は構造の上で大きな差があり、スライド左に示したように、IgA2m(1)はH鎖とL鎖の間にS-S結合がなく、2本のL鎖の間でのS-S結合により二量体を形成する構造をもっています。従って、IgA2m(1)は非還元下SDS-PAGEで容易にL鎖の二量体を遊離します。本例でも、非還元下SDS- PAGEで遊離のκ鎖が確認され、IgA2m(1)の性状と一致していますが、用いた患者資料が精製されたIgAではなく、血清を用いていることから、血清中に存在する微量のBence Jones蛋白の可能性も否定できません。
 事実、他の患者のIgA2m(1)M蛋白例と比較すると、抗α鎖、抗κ鎖抗血清との反応性が本患者ではほぼ同じであり、IgA2m(1)の性状とは若干異なることから、本患者のM蛋白はIgA2m(2)のアロタイプである可能性が高いと思われます。



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