第 12 回発表・抄録番号 2
治療経過中に複数のIgG-κ型M-bandが出現したIgA
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型多発性骨髄腫の一例
(1)
日常検査において蛋白分画値から算出されたM蛋白量と免疫グロブリン濃度に乖離現象が認められた場合、抗原過剰によるプロゾーン現象や、濃度分布の少ないIgG、IgAサブクラスの増加等が考えられます。今回、我々は多発性骨髄腫の患者において比較的まれなIgA
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型M蛋白を検出し、さらに自己末梢血幹細胞移植(PBSCT)後複数のIgG-κ型M-bandが出現した症例を経験したので報告します。
症例です。54歳の男性。背部通で他院に来院、精査の結果、多発性骨髄腫と診断されました。VAD療法施行後、PBSCT目的で本院に入院となりました。入院時、セ・ア膜電気泳動ではβ位にM-bandを認め、分画値から算出されたM蛋白量とIgA濃度に乖離を認めました。免疫固定法により、IgA
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-λ型の2本のbandが確認され、6月1日、PBSCT施行し、6月23日退院となりました。7月5日の外来通院時にIgA
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-λ型の2本のM-bandに加えて、複数のIgG-κ型M-bandの出現を認めた症例です。
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