アミラーゼアイソエンザイムアノマリーの検出と意義(3)


 アミラーゼアイソエンザイム・アノマリー
  1. 遺伝的異常
    Amylase-ls (slow P1)
    dominant P2
    S-amylase variant

  2. 後天的異常(修飾)
    macroamylase
    (amylase-immunoglobulin complex ; amylase-substrate complex)
    tumer producing amylase
    (sialic acid-containing amylase)

     
 アミラーゼアイソエンザイムアノマリーをまとめますと先ほどのLDHと同じように遺伝的な異常そして後天的な異常の2つに大きく分かれると思います。

 遺伝的異常の代表格としてdominant Pがあり、これは本来Pが主要バンドでありますがPバンドがPバンドと同等ないしそれ以上の高活性を持つバンドとして認識されます。さらにPの陰極側にいわゆるslow Pという形で出現するバンドもあります。あるいは血清中では発見されておりませんが唾液中にS型アミラーゼのバリアントについても報告されております。

 続いて後天的な異常としては先程らいCK及びLDHにおいても見られているようにマクロアミラーゼがあります。これは殆どがアミラーゼと免疫グロブリンの複合体ですが、来る臨床病理学会に兵庫医大との共同研究で発表されますが、ハイドキシエチルスターチ基質とアミラーゼの結合した複合体などのマクロアミラーゼが知られています。
 腫瘍産生のアミラーゼこれは先程、藤田先生がおっしゃいました様にLDHにおいても extra band として観察される訳ですけれども、どういう訳か腫瘍産生アミラーゼはS型アミラーゼであります。その中でも私共が報告致しましたような、シアル酸が修飾されたようなアミラーゼこれは易動度の変化したアミラーゼとして認識されます。

 この様に2種類にアノマリーのパターンを分けることができるかと思います。



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