Reversed CPC その1(9)

【臨床経過(解答)】

症例 55歳 男性
  
主訴 易疲労感
  
臨床診断 多発性骨髄腫、糖尿病、慢性腎不全、糖尿病網膜症、アミロイドーシス
  
現病歴
  • 昭和55年頃より糖尿を指摘されていたが、放置していた。
  • 昭和58年11月、易疲労感が続くため近医を受診。糖尿病の診断の下で食事療法、インスリン治療を受ける。
  • 昭和59年、糖尿病網膜症(Scott III6)の診断。
  • 昭和62年11月、易疲労感が強く、同近医を受診。腎不全(Cr 5.4、BUN 43.4)と貧血が認められ、以後、徐々に増悪傾向を示した。
  • 昭和63年2月、精査治療目的に近医に入院。Bence Jones蛋白(BJP)陽性、免疫電気泳動法(IEP)にてIgG−λ、BJP−λ型M蛋白を検出、多発性骨髄腫の診断の下で、ステロイドの投与を受ける。入院中、血糖のコントロールはおおむね良好であったが、徐々に全身倦怠感、食欲不振が強まり、腎機能が急速に低下したため精査加療目的に転院となる。
  
入院時所見 意識低下、皮膚・口腔粘膜乾燥、眼瞼結膜、貧血、両下肺野に軽いラ音を聴取。肝脾、腫瘤を触知せず。
  
入院後経過 慢性腎不全(糖尿病腎症、骨髄腫の合併)による尿毒症、高度の代謝性アシドーシスがあり、ただちにDouble Lumen Catheterによる血液透析を施行、2日後に意識レベルが回復、血糖値のコントロールに努めて、酸塩基平衡、電解の補正を行った。2月25日、A-V Shunt Opeを行ない、週2回の血液透析で腎機能の改善、維持に努めている。腎不全の治療、安定期にVMCP-VMAP polytherapyによる化学療法を行ない、骨髄細胞中の形質細胞の減少、血中M蛋白の減少を得た。しかし、この治療に関連して、薬剤性肝炎の合併が見られ、投与の中止を余儀なくされた。
 なお、入院中にLip biopsyを行ない、アミロイドの沈着を見出している。


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