| 回答 | - 実際にはバンドがない場合
- ゴミや膜のキズをシステムが誤認した → これは膜を見ればすぐに確認できます。
- システムのアルゴリズムでは判別しにくい症例 → γ分画の形が標準形と異なる台形やお椀型である症例は、判別が難しいとのことです(文献1)。
- バンドはあるが、抗血清に反応しない物質だった場合
- M蛋白様バンド → 補体、フィブリノゲン、ヘモグロビン(溶血)、CRP、AFPなどが報告されています(文献2〜5)。他の検査所見や採血方法、輸液など治療内容を確認してください。
- まれなM蛋白 → IgD型やIgE型のM蛋白。免疫グロブリン定量(異常高値)で判別できることがあります。
- 抗血清中にM蛋白に対する抗体が含まれていない → 抗血清は抗原に免疫して作製することから、M蛋白に反応しないことがあります。抗体のメーカーやロットを変えると、検出できることがあります(文献6、7)。
- 免疫固定法が成功していない場合
- 免疫固定法で用いた支持体と反応するM蛋白 → 蛋白分画と免疫固定法で違う支持体を用いている場合は、蛋白分画と同じ支持体で免疫固定法を行なうと検出できることがあります(文献8)。
- 抗原過剰でバンドが固定されていない → 検体を希釈すると、検出できることがあります。
- IgM型M蛋白 → 2-メルカプトエタノールで処理すると、検出できることがあります。
- 報告のポイント
- まず、「M蛋白疑いで免疫固定を実施したが異常なし」であることを伝えます。
- 確認できた原因や考えられる要因をコメントに添えます。
- 医師に臨床症状や治療内容を確認していただき、総合的な判断をお願いします。
- M蛋白検出プログラムは、できるだけ見落としを減らすように設定(文献9)されていますことをご理解ください。
参考文献
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