第12回 特別講演「リウマチ、膠原病外来における血清M蛋白陽性例についての検討」(20)


【文献的考察】

文献的考察

Hurstら(1987)多発性関節炎をきたしたIgG(κ)paraproteinemia 3例を報告。
Vitalら(1991)MGUSに伴う関節炎4例を報告。2例で滑膜にアミロイド沈着。2例に単核球の浸潤。
Jorgensenら(1996)多発性骨髄腫2例、MGUS7例での関節炎を報告。全例RF陰性。seronegative arthritisでは、monoclonal gammopathy を考慮すべき。
Batailleら(1987)RAではimmunofixationで6%に、免疫電気泳動で1%にMGUSが合併する。
Kellyら(1991)RAでのparaproteinemiaは、悪性リンパ腫や多発性骨髄腫への悪性変化をきたしやすい。
Porcelら(1992)SLEの3.5%にM蛋白が陽性。
Abuら(1989)monoclonal gammopathyで、抗Sm、抗RNP抗体が陽性。
Williamsら(1997)monoclonal gammopathyで、抗DNA抗体が陽性。
 今の一例報告を除いて中部リウマチ学会で発表したことの全体としての文献的考察です。
 Hurstらは1987年に関節炎でくるparaproteinemia 3例を報告しました。M蛋白が出ていると関節痛をきたすことがあるということです。
 1991年にVitalは4例MGUSに伴う人達を報告して、2例ではアミロイドが出ている。やはりモノクロナールプロティンです。アミロイドが滑膜に示される。あと単核球の浸潤がある例があった。
 それからJorgensenらはMGUS 7例ですね。これはRFが陰性で(私達のところでは陽性の人もいましたが)そのseronegative arthritis、RFが陰性で関節が痛くなってくる人を見たらmonoclonal gammopathy を臨床医は考えなければならないということを報告しています。

 Batailleらはリウマチの人では免疫固定法で6%、電気泳動法で1%、をMGUSを出し、合併しやすいことを報告しています。
 またKelly らはリウマチではparaproteinemia は悪性リンパ腫やミエローマになりやすいということで、ですからチェックをしてそれで良しとするのではなくて、経過を注意深く観察しなければ駄目である、悪性変化をすることがある。そうすると私達の症例でγ-globuinが低いからといってそれで良いというのではなく、注意深く経過を観察しなければ駄目だと分かるわけです。
 さらにSLEでもかなりM蛋白が出るということが言われていますし、それからmonoclonal gammopathyで抗SmとかRNP抗体が陽性になることがあるので、自己免疫性疾患と間違われることがある。うちの症例ではありませんでした。さらにDNA抗体が陽性になることがあって、そうすると自己免疫性疾患とmonoclonal gammopathyは判断が難しいことが勉強すると分かってきました。



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