第12回 特別講演「リウマチ、膠原病外来における血清M蛋白陽性例についての検討」(7)


【MGUSによるarthropathyと考えられた5例(1)】

表1.MGUSによるarthropathyと考えられた5例 -その1-

性別年齢関節痛関節腫脹罹患期間RF(IU/mL)CRP(mg/dL)血沈(mm/hr)治療

1.M56+-5Y18-60陰性10以下NSAID
以前Au
2.M78+-3Y陰性陰性35NSAID
PSL5mg
3.F65+-2Y100陰性37NSAID
4.M68+-8Y陰性陰性36NSAID
5.M67+-1Y陰性陰性7NSAID
PSL5mg
 ここからは私の外来の患者さんのお話ですが、MGUSによるarthropathyと考えられた5例です。このmonoclonal gammopathyがあるために関節がいたくなるという病態が最近注目されておりまして、あるいは蛋白尿が出るという病態も注目されておりますが、腎の方も第二内科の分野ですので、そういう患者さんもうちにいるんですが、私がリウマチ外来に出ていますので今日はarthropathyに限ってお話をします。

 年齢は割と高齢で、みなさん関節痛があります、ところが問題は関節の腫脹が全然ないんです。関節が腫れてこない。慢性関節リウマチと診断するためには、関節が腫れてないと駄目なんです。ですから関節が腫れていませんのでリウマチとは言えない。RF(rheumatoid factor)は軽度陽性の人もいるし、陰性の人もいる。CRPは全部陰性です。それから血沈も進んでいない。ですから診断に臨床医は非常に困るんです。患者さんは「関節がかなり痛い。痛い」とおっしゃいます。だけど炎症の所見がない。RFが出るか出ないか位で、どちらかというとこの人達は、可愛そうなことに心身症的に見られてしまう。かなり訴えが強いんです「先生やっぱり痛いんです」で治療法というのは、NSAIDというのは普通の消炎鎮痛剤ですがそういうのを出します。以外に効くのがプレドニンを小量やると効きます。Auというのは金剤ですが、抗リウマチ薬は使おうにも関節が腫れていませんから、リウマチではありませんから使ってはいけない訳です。



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