第10回 リレー講演より「日常遭遇する特異検体の解析」(9)


EDTA沈殿物のWestern Blotting分析

 次に、EDTA沈澱物を洗浄後、western blotting分析を行い観察してみました。その結果をスライドに示します。患者IgG型M蛋白は2-mercaptoethanol(以下2-ME)処理前で分子量約155,000、2-ME処理後では、矢印で示した如く、M-蛋白を構成するγ鎖は分子量約53,000、κ鎖は27,000とほぼ正常のIgG2の分子量と一致することが確認されました。

 以上のように、本例のIgG2型M蛋白は、EDTAおよびクエン酸ナトリウムで白濁沈澱し、ヘパリンでは変化を認めなかったことから、M蛋白とキレート試薬との反応が強く示唆されます。また、EDTAはCa2+やMg2+などの2価金属イオンとキレート化合物をつくることが知られていますが、EDTA沈澱物を洗浄後、免疫電気泳動を行ってみますと、IgG型M蛋白以外の蛋白成分は全く観察されなかったことから、IgG同士の結合が考えられるとともに、EDTAが橋渡し的作用をしている可能性が高いと思われます。
 現在、その結合様式については検索中ですが、このようなキレート試薬と反応するM蛋白例の報告は未だなく、本例が最初と思われます。



      講演録に戻る