ELP診断技術フォーラムの記録

第10回 リレー講演より

動脈硬化とリポ蛋白代謝異常


自治医科大学大宮医療センター教授 櫻林 郁之介



 本日のリレー講演のトップバッターとして動脈硬化をにらんだ上での脂質代謝異常ということで、お話させて頂きます。



動脈硬化と関連する血清脂質状態

  • 血清コレステロール上昇
  • 血清HDL-コレステロール低下
  • HDL-C/T-Ch比低下
  • 血清トリグリセリド上昇
  • アポA/B比低下
  • Lp(a)上昇
 
 動脈硬化を念頭におきながら、血清脂質を考えてみますと、図のような血清脂質状態が動脈硬化を惹起することが云われています。基本的にはこのような状態になってからおおよそ20年後に動脈硬化を基盤とした疾患が出現してくるわけです。
 すなわち、血清中のコレステロールが上昇した状態、HDLコレステロールが低下していわゆる善玉コレステロールが低くなった状態、従ってHDLコレステロールと総コレステロールの比が低下した状態、中性脂肪が上昇した状態が動脈硬化に関連するということが最近のデータで分かっています。

 また、アポ蛋白の側から言いますとアポA/BあるいはA1/Bの比が低下した状態がさらに動脈硬化と密接に関連している。
 それからLp(a)が上昇した状態も動脈硬化と密接に関係していると考えられています。しかもLp(a)は、他の血清の脂質異常とは全く関係なく独立した危険因子であると云われています。



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