第4回 特別講演「ポリアクリルアミドゲル電気泳動による血清及び尿蛋白の意義」(25)


4-7 尿蛋白の分析(2)

 次に正常尿中の蛋白についての、仕事をはなします。正常の尿中には、アルブミンが主分画だと頭にあって疑わなかったのです。ところがSDS-PAGEをしますと、必ずアルブミンの上に蛋白が出ました、それが何かと言いますと、尿細管から分泌されるタム蛋白なのです。これも電気泳動後、銀染色が行われたお陰で、殆んど濃縮しないでも検出できたからです。


Densitometric percentage of urinary protein
bands in various diseases and healthy subjects


BandNo.Main identified proteinDenditometric percentage
NormalMalignant tumors(5)Renal diseases(5)
1-94:IgG5.08.3±3.913.7±2.9
10空白空白1.01.0±0.6
11空白空白空白12.4±0.1
12Tamm29.14.6±2.63.7±2.0
13空白空白2.5±0.32.4±0.4
14Tf2.62.6±0.27.4±1.4
15空白空白2.0±0.65.5
16-1816:α1-AT
17:Alb
18:Gc-glb
14.310.7±1.425.6±7.9
19-2219:α1-AG12.820.7±5.217.3±5.4
23空白5.8空白7.0±6.2
24α1-m4.818.6±2.611.1±3.8
25空白7.75.52.2±0.6
26空白1.911.3±2.35.5±2.5
27-2827:lightchain3.014.2±3.74.0±1.6
29β2-m_RBP13.06.4±3.15.8±4.7
 正常尿の中にはアルブミンが多い人もいますが、そうでない人もいるという事が現在判かってきました。尿中の蛋白について内科の腎臓専門の先生といろいろな症例について研究を進めています。糸球体腎炎をSDS-PAGEのパターンより判別し、現在臨床の先生に使って頂いています。アルブミンより高分子が出る場合と、それから低分子が出る場合があり、勿論ブロッティング法によって大体蛋白は同定しております。例えば、尿細管障害だけの場合は、アルブミンより低分子だけが出現していますし、糸球体障害の場合はアルブミンより高分子が多く出現します。



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