第4回 特別講演「ポリアクリルアミドゲル電気泳動による血清及び尿蛋白の意義」(26)
4-8 唾液中の蛋白
もうひとつ今始めているのは、PAGのゲル濃度が5%より低くなりますとどうしても軟かくて取扱いができません。そうしますと分子量としまして80万以上の蛋白は分画されません。それが欠点で、いろいろ考えまして、現在始めています事は、もっと高分子の蛋白を分けなくてはならぬ場合には、アガロースを入れてゲル強度を増すという方法で、2%のPAGにアガロースを入れる事により、PAGの濃度は低いのですが、ゲル強度のあるものを作る事ができるようになりました。大体分子量で240万迄の蛋白が2%で入り込めます。
現在やっているのは唾液中の蛋白です。唾液中の蛋白は高分子量のものが多いのです。
という事で、ささやかではありますが、いろいろな実験をしているという事がわかっていただけたらと思います。これで終りにさせて頂きます。
どうも先生有難とうございました。
私はいつも感心するのですが芝先生は大それた大発見というか、賞をもらうような大発見でなくて、日常の研究にいくつかの芝方法といいますか、独自な方法を編み出しておられるという事がお判り頂けたかと思います。しかし最初に申し上げましたように、非常に艶やかな方ですから、共同研究が多いです。直ぐに目立ちますから共同研究になります。私は目立ちませんので共同研究は余りありません。そういう所は非常に素晴しいと思いまして、研究の中も非常に拡がっているので、いつも感心している次第です。
今日話して頂いたのは総説ではありますけれども、普通特別講演では質問は受けつけないのですが、これは勉強ですから、もし今の話の中からちょっと聞いておきたい事がありましたらどうぞお間き下さい。
質問者 − 最近多発性硬化症でリコールの電気泳動をして欲しいとの要望があるのですが、リコールの何かよい方法がありましたら教えて下さい。
芝先生 − 私も神経内科の先生と組んでやった事がございます。一番長いのは高分解能のアガロースゲルでオリゴグロナールバンドの検出には一番長いのではないかと思っております。PAGではちょっと難しいかも知れません。
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