【症例へのコメント(2)】
- (助言者)司会者に聞きたいんですが、一つはなぜ、その硫酸塩とIgGが反応するのか。例えば糖鎖に関連してしているとか、そういうことでしょうか。
- (司会、質問に答えて)どうしてかというと非常にむずかしいのですが、そういう可能性は否定できないです。
- (助言者)この症例は少なくとも原点に残ってしまったということではないですよね。ですから、寒天が入っているにもかかわらず、残っている。
但し、寒天でポストγ位にあったものがセパラックスとかセパラックスSの場合には、もっと陽極に泳動されていますから、はっきりわからないというのは、どこかの分画に一緒に入ってしまってわからなくなった可能性もあるのではないか。
例えばIgG分画の中に入ると、はっきり検出されていないという可能性はありませんか?
というのは、ポストγに見えてたIgGのM蛋白は非常に微量ですから、同じ分画の中でわかりにくくなっているということは免疫固定法で有り得るのではないかと思います。本当は、SPで泳動してスローγを抽出し、それをもう一回新たにセパラックスにかけてみると、どこに移動されるかわかるんですが。おそらくそれが、ブロードのIgGの中に含まれてる可能性は、高いんじゃないかと思います。そうすると、κもλも検出できませんよね。
そういうのがなんで起こるかということは、全然わかりませんけれども、支持体と反応する可能性はあるんじゃないかと思います。それを起こしてるのは、おそらく異常なM蛋白が持っている糖鎖である可能性が高い。アミノ酸に異常があってその易動度が変化することはありますが、特定のサブクラスが異常になってきたとしてもそういう現象は普通起こりませんから、ちょっと考えにくい。糖鎖を直接測定してみるといいと思います。
- (司会)やはり化学的な性状についてもう少し検索しなければいけないということですね。この例では、何度も言うようにセパラックスではよくわかりませんが、アガロースでは容易にM蛋白が検出できています。このような場合カラム精製をやったことがなければ、寒天のゲル板をちょっと厚めに作りまして、電気泳動後、Mスポットの部分だけをかき取ます。それを抽出、濃縮してセパラックスとか他の支持体上に塗布してみて、M蛋白がどこに移動するか確認するのがよいと思います。
また、セパラックスの表面にはアセチル基が出ているんですが、それと反応するM蛋白例を我々は経験しています。この例も否定できないと思いますので、とりあえずは、そのような方法で、Mスポットを集めて、他の支持体で行ってみれば、どこにM蛋白が移動するか、すぐにわかると思います。それは特別な装置を必要としません。常光でもアガーを売っていますから、ぜひやってみて下さい。
ということで、みなさんもセパラックス−SPにM蛋白があっても他の支持体で出ない場合は、支持体の反応、あるいは何が他の原因が考えられると思いますから、ぜび、支持体を変えてまずやってみるという姿勢を持つようにしていただけたらと思います。そうすれば、異常蛋白を見逃すことが少なくなると思います。
- (司会)それとこの症例の免疫電気泳動で一つ気になったのは、この患者はハプトグロビンが欠如しているんです。このデータをみますと、GOT、GPTが正常でしたが、肝障害はありませんでしたか? わかりませんか?
例えばGOT、GPTが上がらなくても、肝炎ウィルスキャリアとかがありますから、ぜひ経過をフォローしていただくようお願いします。
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