第 6 回発表・抄録番号 3

Fastγ−グロブリン位からγ-グロブリン位にかけて3本のM−蛋白が見られた症例

【症 例】

分画報告書 ザイモグラム その他の画像

 
泳 動 所 見セア膜:γ分画に3本のM蛋白。うち陰極側の2本は波形帯。
免疫固定法:陽極側からIgM−λ、IgM−λ、IgG−λ型。
免疫電気泳動:メルカプトエタノール処理で、1本の太いMbow形成。抗IgG抗体でもMbow出現。
 
その他の検査所見総蛋白高値。
Alb、A/G 比低値。 コレステロール低値。
IgG高値、IgM異常高値。

 
検 討 事 項 γ分画に3本のM蛋白
 →支持体を変えて泳動(セア膜と反応するM蛋白かどうかの確認)
 →免疫固定法(M蛋白の同定)
 →免疫電気泳動、メルカプトエタノール処理(グロブリンに構造異常がないかどうかの確認)
 
ま と めγ分画に3本のM蛋白が出現した。免疫固定法で、陽極側からIgM−λ、IgM−λ、IgG−λ型であることがわかった。IgM高値という点から、会場からは本当に多発性骨髄腫なのか疑問の声が上がっていた。

【解 説】

  1. 本当に多発性骨髄腫か疑問。がんやリンパ腫が存在することもある。他院の診断を頭から信用してはいけない。原発性マクログロブリン血症だとしたら、一番重要なのは細胞の形態である。骨髄腫と原発性マクログロブリン血症はかなり違う。カルテなどで確認すべき。

  2. M蛋白は、複数出現しても臨床的にはあまり意味がない。

  3. IgM型M蛋白は、通常メルカプトエタノール処理をしないとL鎖では反応しない。本症例では反応しているが、ほんとうにM蛋白なのだろうか。もしかしたら、IgMが分子量的に小さいか、あるいは五量体ではないのかもしれない。メルカプトエタノール処理できれいに出るから、一部だけがそうなっている可能性もある。


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