第 3 回発表・抄録番号 6

LDH3が異常に高値な症例

【症 例】

分画報告書

 
泳 動 所 見LDH3高値。テーリングあり。
その他の検査所見LDH高値。
結 論免疫グロブリン結合性LDH。免疫固定法または免疫混合法で確認する必要がある。

【解 説】

  1. ALL(急性リンパ性白血病)やそのほかの疾患でも、LDH3が富士山型に高値になるが、テーリングはしない。LDH3が非常に上がっていて、悪性腫瘍や臓器などのオリジンがはっきりしないような場合は、アノマリーを疑ってよい。

  2. 免疫グロブリン結合性酵素なら、免疫固定法で不溶性コンプレックスの存在が確認できる。LDH3の位置ならばIgAであると考えられるが、陰極側にテーリングしているからIgGの可能性も否定できない。IgA、IgGタイプの複合型ということもある。うまく検出できない場合には、免疫混合法を用いるとよい1)

  3. 本症例では、LDH総活性高値ということから肝疾患や血液疾患を疑い、各種検査を実施してしまっている。早期にアイソザイム検査を実施し、免疫グロブリン結合性LDHだとわかっていれば、それらの検査は行わずに済んだかもしれない。単に数字だけを返すのではなく、検査室としてフォローすべきである。

参考文献



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