第10回 リレー講演より「動脈硬化とリポ蛋白代謝異常」(8)


 現在、行われている検査のなかで動脈硬化と密接に関係している高脂血症を診断するためのスクリーニングが大事だと思います。これは動脈硬化を専門にやっている先生方の話を聞いても大体こんなことであります。トータルコレステロール、中性脂肪、LDLコレステロール、HDLコレステロール、Lp(a)、この5つの検査がスクリーニングとして使われます。
 今回、LDLコレステロールが保険点数で認められましたけれども、総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロールの3つのうち2つを検査として使いなさいということが厚生省からの指針として出ていますから、いったいどうするかということになりますけれども、実際、私どもの外来でやってみますと、総コレステロールからHDLとトリグリセライドの1/5を引いたFriedewald式と直接 LDL-コレステロールを測定する方法から出したデータを突き合わせてみると必ずしも一致しておりません。

 細かいことは省略しますが、動脈硬化あるいは脂質代謝異常ということを考えた場合には総コレステロールよりもLDL-コレステロールのほうが有益という感じがします。実際、日本動脈硬化学会も、高脂血症の治療指針として総コレステロールではなくて、LDLコレステロールを指標にしていますから、将来的にはそういう可能性もある。まだその時期ではないと思いますが。従いまして、こういう検査によって高脂血症、低脂血症というようなことが分かるわけであります。



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